仕事帰り。
月が白く浮かんでいるのに、雪が舞っている。 見る間に路面が白くなってきた。 思い出したのは、去年書いた昔の愛車ジムニーの御話。 今日はズルを決め込んで、ブログにアップします。 長編なのは勘弁。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2005年2月。夕方。 デスクのノートパソコンで天気予報を見る。 昨晩から、天気予報は太平洋沿岸を進んできた低気圧が急速に発達をして、 典型的なドカ雪が降ると警戒を呼びかけていた。 天気図は昨日の予報どおりだ。 交通情報に切り替える。 昼間から降り続いた雪は、この北国でも交通機関を麻痺させつつある。 ほとんどの高速道路、有料自動車道は通行止めになった。 「何、見てるんですか?」 前の席のスリムで可愛い女子社員が聞いてくる。 「天気予報と交通情報。」 「天気予報が面白いんですか?」 「なんで?」 「さっきからニヤニヤ笑ってますよ。」 「そう?」 「出張組は、今日は直帰するそうですよ。道がゲキ混みですって。 で、内勤者も今日は早めに帰っていいって言ってますよ。」 「あ、ほんと?」 「バスも、電車も止まるか、遅れてるそうですから・・・。」 雪はますます強くなるということで、市内から来ている上司が残って、 他は帰っていいということになったらしい。 「おう、Curtis。早く帰れよ、今日は新幹線だろ?」 「いえ、クルマです。」笑いながら答える。 「なにぃ?置いてったほうがいいんじゃねーか? おまえん家のほうは、普通より何時間も掛かるぞ!」 「いやぁ、大丈夫ですよ。」 「じゃあ、なおさらだ。帰れよぉ。」 「はい、すみません。じゃあ、お言葉に甘えて・・。」 「いいぞ、後は。とにかく気をつけてな。」 内心は、ほくそ笑みながら上着を取る。 外に出ると、市内なのに既に20cm近く積もっているようだ。 いつも使っている駐車場へ行くと、管理人さんが雪かきをしている。 「あ、いつもすみませんね。もう出ます。」 「おニイさん、こんな日にクルマで来たなんて、ツイて無いね。」 「いやあ、ワザとです。」 「ええ?」 管理人さんは、訳がわからないっていうふうに頭を振る。 そう、昨日の天気予報を聞いてワザとクルマで来た。 薄い鉄板のドアを開け、ニュートラルにギアが入っていることを確かめエンジンを掛ける。 軽快な排気音があたりに響く。 暖気中にクルマに積もった雪を落とし、前輪のタブをロックに切り替える。 さて、出発だ。 駆動の切り替えレバーは2駆のまま、白いジムニーJA11は道に出る。 ルートは、こんな雪では、大概の人が使わない北西の傾斜のキツイ市街地を抜け、 街から望めるスキー場の麓から山道を抜けるように行くことにする。 確かに、比較的広い幹線道路は、混んでいる。 頭の中のルートマップを駆使して裏道を抜けていく。 既に傾斜のキツイ坂の下で数台がスタックしている。 その放置されている車を横目に、4駆に切り替えたジムニーは坂を上り、そして下る。 思ったとおり、選んだルートはガラガラだ。 NHKの朝の連ドラの舞台になった平坦な田園地帯に出る。 2駆に切り替える。 と、後ろのほうで光のパッシングが見えた。 大きなランクルが、遥か後続のクルマたちをパッシングしてかなり強引な追い抜きをしている。 2度、3度と。 後ろのクルマをまた強引に追い抜いて、ジムニーに向けて加速してきた。 まだ、距離はあるのにパッシングして来る。 ジムニーの前車が左折。ブレーキを踏む。 ランクルは、1台対向車があるため、追い抜けないで後ろに付く。 相手の運転席は、キャップを被った20代らしき男性。助手席には同じくらいの女の子。 前の車が消えた瞬間、ゆっくりと、それでいてタイヤがしっかりグリップをしていることを 確かめながらジムニーのアクセルを踏み込む。 ランクルもパッシングしながら追いかけてくる。 この山の間を縫っていく道では、対向車もいなくなった。 さあ、楽しい場面だが、俺のジムニーのショックは思いっきりヘタっている。 想像してみよう。 ヘタった足で、ショートホイールベース。 ジムニーは重心は高く、結構、車重はある。 そう、荷重の掛け方をミスれば、ノーズダイブとともに、 コーナーの進入でアンダーになり曲がらない。 その後は、ロールでサイドから後ろに荷重が回り、 急激にリアを巻き込むピーキーな動きになる。 そのうえ、ジムニーのペダルレイアウトは、 オフロード用になっているため、ヒール・アンド・トゥなんて出来ない。 それなのにニヤリと口元が緩む。 最初の右コーナーが近づく。 コーナーの手前から早めにアクセルオフ。ランクルが後ろに迫る。 ブレーキで減速し過ぎず、 でも必要なだけスピードを落として回転数を合わせ、シフトダウン。 遊びの大きいステアリングを切る。 リアタイヤは若干横に滑りながら、早めのカウンターで、ジムニーは気持ち良く前に進む。 ランクルより小さな車体だけにコーナーのラインの自由度でスピードはこっちが上。 S字は揺り返しを使って、クリア。 こんなのドライ路面じゃ、ヘタレな自分は到底出来ない。 雪道ってマジで楽しい。 ランクルは、既にパッシングなんて止めて、右車線も使って追いかけてくるが、 コーナーをひとつ、ふたつとクリアするたびに、車間距離は広がっていく。 やがて、峠を抜ける頃には後ろからライトも見えなくなった。 ふう、と息をつき、ペースを落とす。 誰も走っていない道を走りながら、次のルートを考える。 国道を渡って、また別な起伏の多い裏道か・・。 雪が降ると、この去年のイケナイ思い出が甦る。 最高だね、ジムニーって。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ あれから2年。 今でもジムニーってイイクルマだなぁって思うんだ。
by curtis_01
| 2007-02-01 22:41
| M2 1001
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