もろともにながむるよはのむつごとをおもひいでよとすめる月かな
藤原隆信
君と一緒に月を眺めながら語り合ったことを
思い出せと言わんばかりの澄んだ月だ。
MTB、33rpmのブレーキを握り停まる。
ガードレールに足をついて、弾んでいる息を整える。
見上げると、銀色に輝く月。
空気の冷たささえも、
この青白い光の所為なのかと思うほど辺り一面が明るい。
思い出すのは、あの晩、あの時の二人。
部屋の明かりを消して、今宵と同じような月明かりに満たされた部屋の中。
「まるで、水のなかにいるみたい。」
そんな君のささやきが耳に蘇る。
今、君は何をしているんだろう?
この月明かりのもと、少しでも思い出すだろうか?
あの時のお互いのぬくもりを。