朝の5時。
何故か、目が覚めた。
二度寝を決め込むにも、中途半端な時間。
うーん、と寝床で背中を伸ばしながら、ヘッドホンを付け、
好きなブルー・ハーツをかける。
“月の爆撃機”が流れてくる。
視線を窓に向けると、カーテンの隙間からは青空が見えた。
よし!とばかりに曲が終わるのを待ってTシャツと7分丈のスウェットに着替える。
静かに部屋から玄関へ。
ガレージのシャッターを開け、33rpmを出しペダルを踏み込む。
いつものように田園を通るシングルナンバーの国道に出て、スピードを上げる。
風を切る音が耳元に聞こえる。
頬にあたる風が心地よく冷たい。
まだ、上ったばかりの朝日が眩しい。
夏には鮮やかな緑だった稲が、そろそろ黄色がかってきた。
日が高くなる前のコバルト色の空には、絹雲が流れて見える。
自分の足で漕いで、前に進むということ。
そして、クルマでは決して解る事のできないこの景色。
辛くとも楽しい、時速20kmの実感。