「ほっ」と。キャンペーン

Before lateshow.

氷をたっぷり入れた大ぶりの素焼きの湯飲みに芋焼酎。
氷が溶けてちょうどいい塩梅だ。
目の前の小皿には、“蕗の薹”を味噌で甘辛く炒った“ふき味噌”。
酒の共にはコレで充分。
開け放した窓からは隣家の梅の木のそこはかとない花の香り。



「少しやせた?」
伸ばした指先で僕の頬をそっと撫でる。

昨晩、映画のレイトショーの前。
腹ごしらえにと中華料理屋で向かい合わせに座って点心を食べていた。

「そうかな?」

「相変わらず自転車に乗っているんでしょ?」

「うん。」

「私と遊ぶヒマは無いってのに、ヒドイ!」
君は顔を手で覆って下を向く。

「おいおい。」

「・・・なーんて、馬鹿なことは言わないわよ。」
手を開け、舌を出してくる。

「昔からあなたは何かに夢中になっているほうがいいわ。」

「そう?」

「うん、ツマンナイ男になるくらいなら、ほっつき歩いていても
好きなことしてくれたほうがいい。」

「すごく男に対して理解のある発言なんだけど・・・。」

「ううん、違う。
 その方が私にとって厭きない相手になる気がする。」

「厭きない相手ね・・・。でも、自転車乗ってスリムになったけど、
かなり顔の肉落ちて老けてきたよ。」

「見た目なんて私には関係ないわ。それって若いコの価値観よ。」
くすっと笑って君は言う
「見た目より、どれだけ好きなことに夢中かが大切よ。」

「君は男にとって理想に近いよ。」

「でしょ?だからたまにはこんなふうに誘いなさいね。」

「はい、はい。」

「“はい”は一回よ。」
にっこり笑いながら君は言う。

「はい。」
二人で笑い出す。


そんなひとときを思い出しながら、ふき味噌を一口。
芋焼酎を一口。

ちょっと考え込む・・・。
出た結論。

どちらも僕には大切な時間。
自転車に乗っている時間の次に。
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by curtis_01 | 2008-03-30 23:58 | 徒然草
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