「ほっ」と。キャンペーン

雪見。

pm11:30 2008/02/09
“ねぇ、これから1時間だけ時間をくれない?”
彼女の携帯にメール。

“なに?電話?”
“ううん。ちょっとだけドライブ。”
“えぇ?外はすごい雪降っているよ。それにもうお風呂入って化粧落としたんだけど。”
“うん、たぶんそうかなって思っていたけど、スッピンでいいし、ちょっとだけ。”
“うーん、いいけど。どこ行くの?”
“あとで。部屋まで迎えに行くよ。厚着しておいてね。”

送信ボタンを押した後、身体にフィットしたパーカーにダウンを着込み、
ニットキャップを被り、車のキーを掴む。

アパートの部屋を出ると、湿った大きな雪がかなり積もっている。
駐車場にいくとミニバンはすっかり白く覆われていた。
暖気をしながら、ブラシで雪を落とす。
息が白くたなびく。

彼女の部屋の傍に着いたところで電話する。
「着いたよ。」
「うん、今行くわ。」

黒いハーフコートにジーンズで身を包み彼女は出てきた。
「んもう、急に。一体どこ行くの?」
「ん、ちょっとだけ。なんかさ、雪が降るとウキウキして外に出たくならない?」
「犬とか子供じゃないんだから。まったく。」

かなりの雪だ。
道は雪に覆われ、片道3車線の道はレーンが判らなくなっている。
一路、北に向かう。

「走っているのはほとんどタクシーばっかりね。」
「確かにこの雪で夜中じゃあ、ふつー走らないよね。」
「あなたが言う?」

マックのドライブスルーでホットコーヒーを買う。
「今日は後ろに自転車積んでないのね。」
「さすがにそれはねぇ。あ、MTBで走っても楽しかったかな?」
「次は人を巻き込まないでそうしてよ。」

国道のシングルナンバーを横切り、
新興住宅地への街路樹が並ぶ長い坂を上り始める。

「あ、雪が街路樹に積もってきれい・・・。」
「ね。きれいでしょ?」
「これを見せたかったの?」
「うーん、もうちょっと先が目的地かな?」
「へえ、楽しみ。」
坂を上ったところを左に曲がる。


「・・・この頃、どうしたの?」
ここんところ、僕が気にかかっていた事。

「ん?なあに?」
「メールでも電話でも元気ないじゃない。」
「・・・うん、大丈夫。」
「君の『大丈夫』は大丈夫じゃないときのセリフ。」
「あなたも一緒じゃない。いっつも。」
二人は笑いあう。

坂を下り始める。
「そろそろかな。」
「え?」

前方に白と金のイルミネーションで飾られた木々が
雪を積もらせキラキラと輝いている。

「わぁ、すっごくきれい!」
「うん、雪が降ったから、ここはきれいかなと思っていたんだ。」
ゆっくりと通り過ぎ、ライトアップされている街路樹の間を通る。

「ねぇ、クルマ止めて。」
「うん。」
左にクルマを寄せ、ハザートを点けて停める。

「ロマンチックな事してくれるじゃない。」
「少しは気分がマシになった?」
「うん、なった。・・・大丈夫だよ。」
「そう。・・・ならいい。」
「もうちょっと、ゆっくり話ししよ。」
「うん。」

雪は降り続いていた。
次から次と人のつらい想いを隠すように・・・。




ふりつづく雪となやみに嘆くけど とけゆけわらえ春ならばこそ
                               虚空
[PR]
by curtis_01 | 2008-02-10 21:22 | 徒然草
<< Be My Valentine. 憧春 >>