夏祭り

去年書いたお話。ズルしてまたアップ。(笑)

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夏祭りというと、仙台よりかなり北にある小さな我が町でもある。
ちょうど、自分が高校の頃。
その祭りには、不景気なこの頃では無くなった花火大会があった。
花火大会といっても小さい町のことだ。
大きいスポンサーもある筈は無く、単発もしくは数発上がったかと思うと、
暫らく間が開いて、また上がるという
猫もあくびをするような花火大会だった。

しかし、祭りの晩は何かしらの期待でワクワクするもの。
花火大会が始まるまでの、神輿、盆踊りを眺めながら
会場の光の届かない片隅に自分たち、悪ガキ達が集まっていた。
と、そこを浴衣を着た女の子が通り過ぎた。
次の瞬間、自分は彼女の名前を呼んでいた。

「え?」と振り返った彼女より、
周りの連中のほうが驚いていた。

「信じらんねぇ・・・。」
「何で、この真っ暗な中、判るんだよぉ?」
「もしかして、気があるんじゃねぇ?」
悪ガキ仲間たちは、一斉にはやしだした。

「ああ、そうだよ。」

自分でもびっくりするくらい落ち着いた声で、その一言が出た。
はぐらかしたり、照れて否定されると思っていた連中は
あっさり認められ唖然としている。

「何、馬鹿言ってんのよ。花火始まるよ。行こ。」

彼女は、自分にそう言ってきた。
近所の幼馴染。
夏休みは、殆ど、どっちかの家にいるような二人だった。
あたりまえのように、歩き出すと、仲間達ははやすこともせず、
「いってらっしゃーい」って言ってきた。

花火の見物人があふれている土手に二人で並んだ。
自分は、さっき決死の覚悟で仲間の前で言った言葉に
彼女が少しも動じていないのを少し面白くなく思っていた。

花火が上がった。
夜空に浮かぶ大輪の花と、大きい音とともに周りの歓声が上がる。
暫らく間が開き、また上がった。
次の花火を待つ間、彼女が言った。

「私ね、この花火大会好き。」

「なんで?」

「大きい花火大会の連続して凄いのが上がるのもいいけど、
なんかね、大きい線香花火って感じで良いじゃない?」

その言葉に笑った。

「確かに。」

「きっとね、いくつになっても今日を思い出すんだろうなぁ。」

そのひと言に答えるように、次の花火が上がった。

残念ながら、彼女の言うところのあの大きい線香花火は憶えてはいない。
でも、あの花火に照らされた彼女の横顔は今でも浮かぶのだ。
夏の思い出として。
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by curtis_01 | 2007-08-14 09:58 | 徒然草
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