夏の思い出

今にも雨が落ちてきそうな空。
控えめな音量だが、弾ける排気音が幌を開け放した車内に響く。
カーラジオからはケツメイシの『夏の思い出』が流れてきた。
その歌詞にちょっと思い立ち、行き先を変えることにした。

防風林脇の駐車スペースにクルマを停める。
道を渡り防波堤を上がる。
視界いっぱいにグレーの雲と海が広がった。

こんな天気なのに広い浜辺の彼方此方にカップル達の姿が見える。
遥か昔、自分達もあのひとつの影だった。


夏の終わり。
濃い青をバックに高く白く輝く積乱雲。

当時の愛車は、5万円で買った白いカローラセダン。
当然、エアコンもカーステも無い。
窓を開け放し、後部座席にはラジカセ。
そんなおんぼろなクルマに明るく笑って乗ってくれた人がいた。
それまで付き合ってきた中で海が好きなのは彼女だけだった。

波は既に高くなっている所為で海水浴客は少ない。
白いワンピースの彼女の手をとり、浜辺を歩く。
他愛の無い話に二人は笑いあう。
思ったより伸びてきた波がサンダル履きの足にかかる。
かわいらしい悲鳴を上げて、スカートの裾を持ち上げる彼女。
それを見て笑う自分に、波を蹴り上げ海水をかけてきた。


彼女とのそんな青と白の幸せな記憶。
グレーに横たわる静かな海を眺めながら思い出すのも悪くない。
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by curtis_01 | 2007-07-14 17:21 | 徒然草
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