Rock to the mind. "33rpm"

ちょっと傾斜が緩くなってきた。
スピードが落ちるとともに、
口の中に入った泥を唾とともに吐き出す。
既にバイクも全身も泥だらけだ…。


毎日パソコンの画面を見つめて仕事をしていると、
自分自身もOSっていう国の中のフォルダーっていう会社にある
ファイルという部署で簡単に変更されたり消される
データのような気がしてきた。
いくら街の中をCross-Checkで疾走していても
纏わりついてくるクルマとヒトの多さ、
そしてしがらみっていうツマンナイものにウンザリしてくる。

そんな日々が続くと、土の匂いが嗅ぎたくなった。

昨日夜遅くにアパートから家に帰って来ていた。
朝早くからMTBのUN AUTHORIZED 33rpmで出かけるためだ。
目指したのは、以前は愛車M2 1001で週一走り回っていた栗駒山。
そこの林道をひたすら走ろうと思った。

林道まで片道30㎞のアスファルトの上を走る。
日差しは明るく、久しぶりの青空に絹雲と積雲が気持ちよく流れている。
鳥の鳴き声。
緑の濃い杉山。
今年初めての蝉の鳴き声。
澄み切った渓流。
耳にするもの、目に映るものを楽しむ。
全てが微笑んでくれている。

林道に入ると、雨の跡が残って所々に水溜り。
そして山からまだ流れ出る水に路面はウェット。つまりぬかるんだ土。
これが結構体力を奪っていく。バイクも服もたちまち泥だらけだ。
水の流れと、鳥の声、蛙の声。音量は結構あるのに静かに思える。
緩やかな傾斜を登って、つり橋を渡り、滝を見るのが目標だったのだが、
山の斜面を直径5mくらいの岩が何個も落ちてきたらしく、
つり橋は盛大に破壊されていた。

“しょうがねぇ。”
肩をすくめて、そのまま山の奥に向かって進むことにした。

暫く5㎞ほど進むと、路面はぬかるんだ土から、ガレ場という風情の大小の石に変わった。
そのうえ凹凸が多く、傾斜もかなりきつくなる。
横を流れる渓流は岩に当たって派手な音を立てて流れている。
とうとう33rpmを降りて押し始める。
道の脇には一本の茎に柔らかい白い小さな花がたくさん塊りになって咲いているのが
湿布のような香りを周りに漂わせている。
その香りが、こんなときなのに中学時代の陸上の練習を思い出させる。

登山道の分岐まで来た。
道標ではここまで13㎞と書いてある。
この先はバイクをほとんど担ぐことになりそうで、折り返して降りることにした。
…が、今までバイクを押して上るような傾斜だ。それに石だらけの凸凹路面。
今までに体験したことのないオフロードのダウンヒル。
ペダルを漕がないのにスピードが乗る。
恐怖に思わず声が上がる。誰かが聞いたら悲鳴とも歓声とも聞こえただろう。
タイヤが巻き上げる泥水はさっきよりも凄まじい。
体中が振動で震えている。
でも暫くすると、このスピードそれが快感になってくる。

林道の始めまで無事に降りて来ることができたが、
苦労して登ったのが一瞬で終わったような気がして
あんなに恐かったのに、ちょっとつまらなく思えてしまう。

麓の道の駅まで下りてきた。
赤い木製のベンチに33rpmを立てかけ、その脇に座る。
脚を伸ばし、青空を仰ぎ見る。
顔が笑ってくるのがわかる。

“うん、最高!”

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by curtis_01 | 2007-07-07 21:03 | 自転車
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