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むめの花

むめの花よるは夢にも見てしがな闇のうつつのにほふばかりに
                               平忠度

   梅の花。
      夜は夢にも見てしまいたい、
      闇の現(うつつ)に匂うほどに。


朝の通勤は好きだ。
始業1時間前の誰もいない職場で仕事を始めるのが日課の自分は
いつも始発か、その次の新幹線に乗って行く。

仙台に入ると田園風景が広がり、
国道4号線の道路標識が朝日を反射させる。
高架線路の車窓から眺める住宅街は
幼い子供が自分の法則に従って積み木を並べたように
雑然としながらも、無意識下の規則性を感じる。
なんとなく、これが見たくて窓際に座るんだ。

駅からは20分ほど歩く。
冬の間は薄暗い蒼い水の底にいるようだったこの路も
同じ時間なのに日がやや高くなり、
日差しが明るくステップを踏んでいるようだ。
まばらに歩いている通勤者達の表情も
心なしか明るく見える。

いつもの銀杏並木の坂を登っていくと、
右手側に梅の花が咲いていた。

毎朝、ここを通っているのに・・・・。

周りを見れば、街の中とはいえ
彼方此方で淡く薄い赤みがかった花が咲いている。
忙しいとは心を亡くすと書くとは上手い事を言ったものだ。
ここのところ忙しく、余裕がなくなっていた自分に気付いた。

それでも、心のリバウンドか、梅の花を眺めて
彼女の笑顔を夢でも見ていたいと、そう願ったあの頃、
そんな早春の記憶まで蘇ったのには参った。

苦笑いをしながら、また歩き出す。
幾分、軽い足取りになったと感じながら。
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by curtis_01 | 2007-03-24 00:26 | 徒然草
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