月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして
在原業平
月は昔と同じではない、春は昔の春ではない、
我が身だけが昔から変わらないままであるけれど
家に着いてガレージのシャッターを開け、ライトのスイッチを入れる。
闇から一転。
Cross-Check、33rpm、モンキー、BMX。
棚に飾られたミニチュアカーたち。
そして、今は亡き親友の写真。
いくら愛していても、妻とも息子とも顔を合わせず、
静かに過ごしたい時がある。
この恋歌。
“月さえも、春さえも昔と変わったように思えるのに、
あなたがそばにいない私だけが時間が止まったようだ。”
そういう想いをしたことも遥か昔。
今は暫く、ここで時間が止まってほしいだけ・・・。