1989秋

オープンにした、タン色の内装に朝日が眩しく差し込んでいる。
空は、朝までの雨が嘘のように晴れ渡っている。
秋の青空だ。

国道のシングルナンバー。
片道3車線の広い道。
休日の朝のせいで他のクルマの数も少ない。
濡れた路面、真ん中の車線をグリーンのロードスターが真っ直ぐ進む。
サイドミラーから、跳ね上げた水に日光が白く反射しているのが見える。
その水音に、笑みがこぼれる。

出たばかりのV-spが納車になってはじめて、
800km離れた街から会いに来てくれる彼女の出迎えだ。

広い国道を左折して、空港への道に入る。
シフトダウンとともに、ウッドベースの高い弦を弾くような
小気味良い排気音が響く。
サングラスをかけていても眩しい朝日が、
濡れた路面を、すべてを白く照らす。

このクルマを見て、彼女はなんて言ってくれるだろうか?
オープンにして助手席に彼女を乗せて走る、そんな夢が叶う。
そんなことが頭に浮かぶ。

空港の駐車場にV-spを停める。
会いたかった笑顔へ駆け出す。


あれから16年。
あの時、会いたかった笑顔はすぐ隣にある。
ロードスターがくれたものは、かけがえの無いものばかり・・・。
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by curtis_01 | 2006-09-12 21:38 | M2 1001
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