夢よりも

夢よりもはかなきものは夏の夜の暁がたの別れなりけり
                         壬生忠岑

夢よりも儚く辛いものは、
夏の夜が明ける頃、恋人と離れることだ。


白々と明けてきた夏の早朝、深い霧がたちこめている。

一晩、一緒に語り明かした女友達と、海に行ってみようとアパートを出る。
フォグライトを点け、静かにクルマを出す。
ボロいクルマのカーラジオからはFENが流れている。

海までは30分。
とりとめのない話題に二人は笑い合う。

本当に小さな漁港に着く。
潮の香りと打ち寄せる波の音だけ、周りは真っ白の世界だ。
クルマを降りた二人は防波堤に上り、先端まで歩きだす。
ともすれば、足元さえ見えなくなりそうなくらい。
どちらともなく、ふざけ合い、手を繋ぐ。
二人の明るい笑い声がサラサラした霧に吸い込まれていく。

話題が切れ、しばしの無言のあと、
以前からの彼女への想いを伝える・・・・。


いつも夏の霧の朝に、この場面が甦る・・・。
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by curtis_01 | 2006-08-17 21:08 | 徒然草
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