流れるピアノの音。
のびやかに歌い上げる声。
Joe Jackson のHometown。
歌詞は、ふと振り返ったときに
蘇るホームタウンの音を伝える。
故郷に帰っている自分だけど、
心あるところが故郷だと思えば、
自分にはそれは此処じゃなく、場所ですらない。
それはかすれてしまった記憶の中の映像。
親友がまだ此岸に居て、
仲間たち、みんなが笑い合っていたあの頃。
米兵と街道レースをやった、新緑がまぶしい湖沿いの道。
金色の夕日に照らされた紅葉の渓流。
漁港の堤防を波の音をバックに彼女と歩いた霧の中。
太平洋横断にレシプロ機が旅立ったという砂浜を
2ストのジムニーで突っ切っていった時の青い空。
本当に戻りたい。
あの親友の笑顔に会いたい。
ゆめみても叶うことなどつねにない我の月見は十六夜ならば